雨
雨宮さん (9m7s4mzo)2025/8/2 01:34 (No.43914)削除【CAST】
Misia・White ミーシャ ホワイト
"オトモダチ" 雪だるまさん
【MAIN】
「りん、かい … 学校?」
配られたプリントに書かれた文言に、ぱちりと大きな瞳を瞬かせる。上着の袖越しに不思議そうに印刷された文字を撫でて、こてりと首を傾げた。
「無人島 …… "素顔" のままで …… 」
浮ついた声音で呟く彼 ____ ミーシャは、海を知らない。この学園に通うことで山の知識やそれ以外の多種多様な知識は得たけれど、海は見たことがなかった。
ミーシャの知る海とは、物語の中や 他の人が語るお話の中だけに出てくるもので、自分がそこに行くというイメージは全く湧かない。
「暑い、のかな? 雪だるまさんが嫌なら行かないけど … どうする?」
本音を言うなら、凄く行きたい。
海というものを初めて見れる、ということもあるが、学校行事で "みんな" と楽しめるという部分にも酷くそそられる。
けれど、それで "オトモダチ" に負担を強いてしまうのなら話は別。ミーシャにとっての「1番」は "オトモダチ" であるべきで、その他どんなことがあっても最優先事項が "オトモダチ" から変わってはならないのだから。
「ッわ、雪だるまさんも行きたいの … ? くふ、んふふ …… 大丈夫、ちゃんと参加するよ。だから落ち着いて、ね?」
そんな杞憂とは裏腹に、ミーシャの "オトモダチ" は『行きたい行きたい行きた〜い!!』と言わんばかりにミーシャの周りを飛び回り、雪の結晶の残像をきらきらと煌めかせながら自己主張。
そんな "オトモダチ" の必死さに、ミーシャは思わず袖で口元を隠しながら笑い声を零す。
だって "オトモダチ" があまりにも可愛かったから。愛おしそうに眺めて、優しく指の腹で頭の部分をそっと撫でた。
「あ、これ、申込書をださないといけないみたい …… 雪だるまさんも書かないとかな?」
行くと決めたからにはきちんと読み込まなければ。元来の真面目さを発揮して再びプリントを読み進めれば、どうやら参加には申込書を提出する必要があるらしい。
でもミーシャの "オトモダチ" は「文字を書く」なんて高度なことは出来ない。ミーシャが申込書を書くだけで済むならそれで良いけれど、 "オトモダチ" の分も申込書が必要なら、また別に方法を考えなければならない。
「ん …… わかんないから、先生にきこう。一緒にいこ、雪だるまさん」
徐に席を立ち上がり、荷物を纏めて出発する準備を。長い間考え事をしていたのか、気づいたら生徒はすっかり居なくなって、夕暮れが差し込んでいた。
( はやく聞いてはやく帰って、雪だるまさんと遊ぼう )
いつものようにミーシャの学科バッジで遊び始めた "オトモダチ" に「仕方ないな」と微笑んで。夏の強い日差しに当たらないように廊下の影を通って進んだ。
_____雪だるまさんにとっても、いい思い出になるといいな。
その後、申込書を提出するのはミーシャの分だけでいいと言われ、安心したミーシャと "オトモダチ" であった。